社労士独立開業で成功できる?「社労士資格が食えない資格」といわれる所以。

社労士試験に合格し、次の進路を考えるときに「社労士独立開業」という選択肢が出てきます。

社労士試験に合格したら何があろうとも独立開業するぞ!と、すでに独立開業を心に決めている人はよいのですが、まだ独立を心に決めかねている人は大いに迷う時期だと思います。

「はたして社労士やっていけるのか?生活できるのか?食えていけるのか?」

この問いについては永遠のテーマだと思いますが、私の考えをまとめてみたいと思います。

「社労士は食えない資格なのか?」の意味を区別して考える

インターネットを検索すれば、

「社労士資格は食えない」「社労士資格はとっても無駄だ」「AIにより社会保険労務士は将来いらない存在だ」

というような記事をよく見ます。

社労士として独立開業を目指している方も、同じようにこのような記事をよく目にしているのではないでしょうか?

そして、記事を見るたびに、

「えっ、社労士って食えないの?独立怖いな・・・」

というような悲観的な感情と戦っているひとも多いのではないでしょうか。

私は、この「社労士は食える資格なのかどうなのか?」という永遠のテーマを考える際に、今一度考えてほしいことがあります。

それは、

「社労士資格が食える資格なのかどうなのか?」という問題と、「社労士として独立した場合にその人が一事業主として生活していけるのか?」という問題とを分けて考えるべき、

ということです。

どうもネットの情報をみていると、この2つの問題が混合的に議論されているように思います。したがって、これから社労士として独立開業をしたいと思っている方は、この点を注意して今一度考えていただきたいと思います。

社労士資格自体は、食える資格。

まず、「社労士」という職業そのものに注目をしてもらうと、この点については、

「社労士資格は食える資格」

ということができます。

なおここで一つ注意があります。「社労士資格は食える資格」と私が言っているのは、あくまでも独立開業を前提として話しています。「転職として有利」「社内の昇進として有利」など、独立開業以外を目的とした場合は事情が変わってきますので、ひとことで食える食えないは判断できません。明確に区別しましょう。

社会保険労務士の業務は、社労士法第2条に載っています。

・労働社会保険に関する申請書等の作成

・上記申請書等についての手続き代行

・労働社会保険諸法令に基づく申請等についての事務代理

・個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律等の手続きについて紛争の当事者を代理すること (特定社労士のみ)

・労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成

・労務管理等の事項について相談指導すること

などなど。

社労士法第2条については詳細を知りたい方は検索エンジンでググってもらえるとすぐに出ますので調べてみてください。

ただ、ここで私が言いたいのは、「社労士法にこんなに業務が列挙されているから食える資格だ!」ということではありません。

正直、私は今でもこの社労士法2条をみただけでは、何が社労士の仕事としてできるのかすべてを表現しつくしているとは言えないと感じています。

(それがゆえに、「社労士ってどんな仕事してるの?」と聞かれたときに、答えづらいのです。)

どちらかというと、社労士として仕事を続けていると、様々な依頼がお客さんから投げかけられますが、そのような日常のなかで、

「これは社労士としての仕事だ!あれもそうだ!これもそうだ!」

と、社労士の仕事がとても多いことに気づくのです。

また、社労士の仕事は、純粋に、社労士法2条に定められた業務もありますが、単純にそれだけではありません。

社労士が行う、「コンサル」「規定整備」「従業員向けセミナー」「安全衛生」「本の出版」など。

つまり、本来であれば社労士でなくてもできる仕事もたくさんあります。

様々な経験を積んだ方にによる「コンサル」、行政書士による「規定整備」、キャリアコンサルタントによる「従業員セミナー」、安全衛生コンサルタントによる「安全衛生」、司法書士による「本の出版」。

これらは、何も社労士のみの仕事ではありませんが、逆に言うと、社労士の仕事にもなりうるのです。

私も社労士として独立し8年ほど仕事をしてきましたが、まだ社労士業務の全貌がわからないくらい次々と新しい仕事が発生しています。

私の経験からも、この社労士という資格自体は、食える資格といってよいと思います。

社労士資格で独立開業を目指されている方は、ネット上の情報を鵜吞みにせず(かくゆう私の情報もネット情報の一部なのですが…)、「社労士資格」自体に失望する必要はありません。

社労士資格を活かすのは、自分次第

社労士資格は、食える資格であると上記で書きました。

私の周りを見回すと、やはり社労士事務所として年商5000万以上の事務所が現実にありますので、社労士の需要自体はあることは確かですし、食える資格であることは間違いありません。

わたしも、実際にそのような事務所が存在するのであれば、決して社労士資格自体生活できない資格ではないだろうと予測を立てて事業を継続しています。

もっとも、社労士として独立開業すれば、すべての人が余すところなく食べていけるかといえば、そうではありません。

社労士も、一個人事業主です(社労士法人を除く)。

仕事がなければ売り上げもないので、生活をしていくこともできません。

つまり、「社労士資格」という手段を通じて、自分がひとりの商人として商売を続けていけるかどうかが重要なポイントなのです。

社労士資格それ自体は、食える資格です。

そして、社労士資格はあくまでもひとつの手段(武器)であり、自分がその武器を駆使して

社労士として生活していけるかどうかは、まさに自分次第なのです。

「社労士資格は食えない」というように、資格を責めてはいけませんし、そもそもそれは的外れな話といえます。

正しくは、「自分は商人としてやっていけるか」という問いが正しいと思います。

なお、ここにいう商人とは、自分自身がひとつの商品となって、それをお金に変えていく人のことをいいます(自分自身の売上)。サラリーマンなど、会社商品(業務)を会社の売上に変えていく人ではありません。看板が、自分なのか、会社なのかという違いです。

そして、多くの人は商人の経験がありません。私も社労士として独立開業する前はその経験がありませんでした。

税理士事務所に勤めて仕事をし毎月お給料をもらうことはあっても、直接お客さんから自分自身の仕事の対価として報酬(売上)をもらうことはありません。

むしろこれが普通ではないでしょうか。

ところが、どんな仕事にせよ、独立開業して自分自身でお金を稼いでいくとなれば状況は180度変わります。

自分自身が商品になって、それをお金に変えていく。

つまり、自分自身で売り上げを生み出していく必要があるのです。

これについては、社労士という職業でなくても同じなのです。

社労士として、はじめの売り上げを作るには

自分の力で、まずは売上0から1を作り出すにはどうすればよいかを考えましょう。

自分は「社労士」という武器を持っている。では、

・「社労士」を必要とし探している人はどこにいるのか?(お客さんは誰かなのか?)

・「社労士」をお客さんはどのように探すか?(ルートなど)

・「社労士」を探している人の目に留まるには、どのような露出が必要か?

・どのような人とつながれば、「社労士」としての自分が役立ちそうか?

などなど。

いわゆるゼロイチ(ゼロから如何にして1を作り出すのか)を達成するために、私は

四六時中考えていました。

世の中には、社労士業務はゴロゴロと存在しています。

たまたままだ社労士を始めたばかりの自分の目の前には無いだけ。

では、試行錯誤し、自分の目の前に社労士業務を引き寄せるために何をすべきか?

独立開業後の一番のポイントは、

最初の仕事をどのようにとるか、です。

初めの仕事をとるまで堪えれば道が開けます。

耐え忍ぶ手段はいくらでもあります。

お金がなければバイトなどしてもよいでしょう。

わたしも家庭教師などをして生活をつないだ時期もあります。

貯金を切り崩す日々もありました。

ただ、耐え忍ぶだけではだめです。防御とともに、攻め(攻撃)も必要です。

名刺1枚で飛び込み営業もしました。

ホームページも作りました。

いろいろなところへ足を運びました。

先輩にもお世話になることもありました。

その他さまざまな行動をしていくなかで、私は知人からの紹介で初めての顧問先ができたのです。

1社顧問先ができれば自信がつきますし、経験値も積むことができます。

その自信と経験を次の顧問先2社目につなげていくのです。

私の営業は決して派手さはなくむしろ地味です。

しかし、地道に実力を蓄えながら今日までやってきました。

とっておきの一発逆転となる裏ワザは残念ながら持ち合わせていませんが、そんな自分も生活を続けていますので、社労士として独立開業を考えている方は、勇気をもってこの世界に飛び込んできてください!