独立開業社労士の1日~給料計算あり編~

社労士は、顧問企業から給与計算を受託することがあります。

各会社ごと給与計算の締め日が違いますが、だいたい15日締め・20日締めの会社が多いので、月の15日以降から月末にかけては給料計算業務が通常業務にプラスされ忙しくなります。

独立後の業務イメージをもってもらうため、通常業務に加え、給料計算のあるとある1日を書いてみました。

興味のある方はどうぞ最後までご覧ください!

独立社労士の1日

AM7:00起床

昔から血圧が低く朝に弱いため、冬場は体の負担を考えてゆっくりと起きる。

朝食。だいたいトースト&コーヒー。安住さんが出ている「THE TIME」をみながら。

シャワー入る。

AM8:50 出社

自宅の横に事務所があるため、通勤時間10秒!!

事務所の窓をすべて開け換気し、空気を入れ替える。

AM9:00 業務開始

メールをざっと確認し、ひとまず緊急のメールがないかどうかを確認。

(1)朝一でやろうと思っていた、顧問先からもらっていたメールへの返信作業。

有期雇用契約の更新にあたっての雇用契約書確認。有期雇用契約の契約期間短縮の可否、可とした場合の更新条件等の留意点をまとめ、さらに、労働者配布用の書類も作成し顧問先へメールで送る。

(2)顧問先からの電話対応。産前産後休業・育児休業に入る予定の従業員さんについて。

出産予定日を確認し、健康保険の出産手当金の話、産前産後及び育児休業中の社会保険料免除の話、育休開始後の雇用保険育児休業給付金の話、などなど説明。

近時会社を訪問し、対象従業員さんへの説明をすることに。ほかにも、この会社については、コロナの傷病手当金の書類の受領や、そろそろ準備しなければならない36協定書の原案を持っていく予定。

(3)知り合いの会計事務所さんからの質問電話あり、対応。

退職にあたっての有給休暇について。有給休暇の買取の可否や、退社前の業務引継ぎを希望する会社側の主張がどこまで強制力あるか、など。おおまかな流れの説明と、労使の妥協点をアドバイスした。

(4)有料職業紹介事業の許可申請を進めているお客さんとのやりとり。書類作成にあたり不明な点を電話で確認。また、労働局に事前確認をしてもらうための不足書類の準備を依頼する。メールやラインなどで連絡を取り合うことがある。

(5)午後に1件給料計算のタイムカード等が届く予定であるため、午前中に各種申請を電子で一気に行う。

・社会保険、雇用保険の資格取得手続き

・最近退職した顧問先従業員さんの社会保険・雇用保険資格喪失手続きと、離職票作成

・月額変更届

・雇用保険の育児休業給付金申請

・雇用保険の高齢者雇用継続給付金の申請

合わせて、過日行った電子申請の結果が公文書として電子で届くため、それらの確認作業を行う。

(6)顧問先より、従業員に子供が生まれたため保険証の発行を早急にしてほしいと電話あり。

電子申請で、扶養の手続きを行う。

PM12:20 昼食のため自宅へ戻る

午前中はあっという間に終わってしまった。

午後に備えて昼食を。基本的には隣の自宅に戻りご飯を食べる。

PM1:30 監督署へ

給与計算をする前に、労働基準監督署へ行く。

・36協定書の提出

・1年単位の変形労働時間制に関する届出書を提出

・労災の休業補償請求の4回目を行う

PM3:00 おやつ

おやつ休憩。チョコとコーヒーが定番。

※運動不足と相まって、血液検査の結果が悪いので汗、できれば甘いものは避けたいけれど、

給料計算等集中する仕事の前はどうしても食べないとエンジンかからないのでやむなし。

PM3:30 給料計算 3件 開始

(1)1件目

勤怠がファックスで届く。

現在、給与ソフトを2つ使用している。弥生の給与と、セルズの給与の二つ。どちらも給料計算の定番ソフト。

この会社は約10名前後。一気に計算等を行い、明細&一覧表はメールで送り完了。所要時間約1時間。

(2)2件目

勤怠がメールで届く。

この会社も従業員が約10名前後。この会社は労働時間の集計を社労士ケビンが行うので、電卓をパチパチと集中してたたきます。労働時間の算出ミスは給与に直接に影響あるので、気が抜けません。所要時間1時間30分くらい。

(3)3件目

夕方にタイムカード等の勤怠資料が届く。事務所近くの顧問先。

従業員数25名前後。こちらも一気に計算等行い、翌日午前中に給与明細や一覧表などを会社に届けます。所要時間1時間20分ほど。

PM7:30 自宅から夕飯の連絡あり戻る

夕飯の時間になると、自宅から「ご飯だよ~」と電話がくる。

仕事に区切りをつけ、自宅へ。事務所の隣なので10秒でつく。

本当はおなか一杯夕飯を食べたいが、まだやらなくてはいけない仕事があるため、

腹八分目くらいにしておく。

21時くらいまでは食後の休憩をする。

PM9:00 事務所へ戻る

進めておきたい仕事をやる。

(1)(行政書士業務も行っているため)建設業の許可の更新手続きの書類作成をすすめる

(2)数日後に、顧問先の安全衛生委員会へ出席するため、安衛法関連の情報収集を行う

(3)(行政書士業務も行っているため)ビザの更新手続きの書類準備をすすめる

(4)明日給料計算を行う会社の準備をする

(5)身の回りの片づけ、ごみ捨てなどおこなう

AM0:30 自宅へ帰り、風呂入る

録画しておいたフジテレビの「突然占ってもいいですか?」を倍速でみる。

軽くストレッチをして布団へ入る。

オーディブルで本を聴きながら、寝落ちする。

給料計算業務の良い点と悪い点

社労士の仕事の一つとして、給与計算業務があります。

給与計算業務の良い点と悪い点、両方あり、以下、簡単にまとめてみました。

①給与計算業務の良い点

(1)安定した収入になる

給料計算は毎月あります。毎月あるということは、毎月一定の報酬を頂けるということです。

この毎月入ってくる収入はとてもありがたいですし、事務所の安定にもつながります。

スポット業務も悪くありませんが、収入が安定しませんので、やはり毎月継続しておこなえる給料計算業務はとても大事なのです。

(2)従業員さんの給与の動きを確認でき、手続き漏れが減る

給料計算業務を行っていると、従業員さんの給与の動きを毎月確認することができます。

毎月確認できると、例えば、臨時で賞与を出した場合の賞与支払届の手続きや、給与改定があった場合の社会保険の月額変更手続きを漏らさずに対応することが可能です。

私も、給料計算は受託せずに社労士の手続き業務のみ顧問契約をしている会社さんがありますが、たまに、給与改定や賞与の臨時支給の連絡を頂けないときがあります。

年に一回の社会保険算定基礎届の提出手続きの時期に賃金台帳をお借りし確認させてもらうと、微妙に手当の金額が変更されていたり、新しい手当が付与されていたりと、いわゆる固定的賃金の変動があって2等級以上の差が生じていて社会保険の月額変更手続きを行わなければならないのに、手続きの時期を徒過している時があります。

会社さんに、

「基本給や諸手当が変わった場合には社会保険料の変更手続きが必要になりますのでお知らせくださいね!」

とお伝えしていても、どうしても社労士への連絡を漏らしてしまうことが良くあります。

そうすると、さかのぼって社会保険の月額変更手続きを行い、さらに、さかのぼって社会保険料の精算をしなくてはならないのでとても大変です。

毎月の給与の動きが把握できていれば、その辺の心配は不要です。

臨時賞与支給を知らず、後日慌てて賞与届を出すということもなくなりますので、心理的にも安心です。

(3)賃金台帳が手元にある

給与計算をしていると、自分のところに給与データがありますので、必要に応じて自由にデータを確認したりプリントアウトとすることが可能です。

一方、社労士手続き業務のみ受任している場合はどうでしょうか?

その場合、定期的に、会社から給与データをもらう作業が必要になります。

クラウド上でデータのやり取りをできる会社さんであればよいのですが、そうでない場合、上記のような作業のわずらわしさがあります。

faxで毎月給与一覧を送ってくれる会社。

給与台帳を借りて、事務所でコピーをしたうえで返却する会社。

いろいろな会社がありますが、やはり手元に自由に確認できる賃金データがあるというのは、仕事を円滑に進めるうえでとても重要になってきます。

②給与計算業務の悪い点

給与計算業務の悪い点としては、

「毎月給与計算業務に時間的に縛られる」

ということです。

例えば、毎月15日締め、25日支払いの会社さんの場合、以下のようなスケジュールになりやすいです。

(1)16~17日くらいに勤怠データが事務所へ届けられる

(2)内容を確認し、不明な点等は担当者と確認作業を行う。

(3)給与ソフト等で勤怠を入力し、給与計算を行う。

(4)18~19日くらいに給与計算の確認を相手先会社にしてもらう(もちろん、確認なしで即納品という会社も中にはあります)

(5)会社側の確認作業がオッケーとなった後に、正式に給与一覧表や給与明細等の準備し、会社へお届け。金融機関の振り込み手続きとの関係で、20日~21日あたりには完成させる(現在では、WEB明細など紙が不要の会社もあります)

上記の流れは1例ですが、給与計算のフローは会社によって千差万別です。

見てわかる通り、締め日から支払い日までの間は日数が限られていますので、その間に給与計算を完了する必要があり忙しくなりますし、時間に縛られるような形となります。

1社だけならまだしも、ほかの会社の給与計算業務も請け負うとさらに時間的拘束が発生します。締め日は15日締め日だけではなく、20日締め、25日払いや末日払いなどもありますので、月の後半は本当にスケジュールがタイトになり大変です。

普段の仕事は給与計算だけではありません。通常の業務を行っていれば、

「従業員さんがケガした」

「従業員さんに赤ちゃんが生まれたので、至急保険証を発行してほしい」

「就業規則の変更を早急にしたいので来てほしい」

などなど、顧問先からは矢継ぎ早に相談が来ますので、油断はできません。

私は当初、「そろそろ給与計算の時期だね~」と言って毎月の決まった仕事をすることに変なあこがれがあったので、給料計算に対していつでもwelcomな状態でいました。

が、やはり給与計算の業務件数が増えてくると時間的拘束がより強くなり、

「給与計算業務の受注はこのくらいでひとまずストップしようかな」

と思うようになりました(といっても、「やってほしい」と言われれば「はい喜んで~」と受任してしまう自分がいます汗)

給与計算業務には良い点と悪い点両方ありますが、大変勉強になるので(収入にもなりますが)、ぜひともおすすめです。